全成分の読み方のルールとコツについて

全成分についてはよく個々にご質問をいただきます。でも何度も言いますがただ成分を見ただけではコスメは読めません。

どういう目的で作られたものなのか?
どのように宣伝広告しているのか?
製造販売元が誰なのか?
ブランドストーリーは?

これら全部をひっくるめてみた上で全成分を読んで行くことでわかることがあるんです。ここ、理解できない人は一生、コスメは読めません(笑)
成分だけを見ていい悪いを判断するならそれはそれでいいですが、だったらこのブログを読む必要はないです。

成分名からパソコンで検索すればそこに答えはあるから。
本も色々ありますしねー。
全成分を読むことには意味があるので、目的、広告、誰がどんな目的でどのように広告してどんな背景で販売しているのか?の全体を把握することが大事なんです。

目次

全成分と主成分は違います

全成分表示とは、化粧品が何で作られているのかその成分を全部書かなくてはなりません。配合している成分は全部記載するので「全成分表示」となります。

いいですか!
全部記載する!
ですよ。

たまーに「主成分」とか「配合成分」と書いてあるウェブやカタログを見ます。
がしかし、これは「全部記載」していません。
カタログには「全成分」を記載する必要はないので「主成分」でも「配合成分」でもオッケー。

この違い分かりますか?
主成分は全成分ではないのでそこは注意です。

まあ、つまり…こう考えてください。
主成分=「広告したい成分」
という意味になりますね。

ラベルやパッケージには「全成分」はマストです。これ薬機法ですよ。
だから「主成分」ではいけません。
化粧品を購入するときは必ずその商品に書いてあるラベルやパッケージをしっかり見て全成分を読んでから選んでくださいね!
ウェブサイトやカタログの情報だけでは「主成分」ってこともよくありますから。

全成分を見れば一目瞭然

売る側は、化粧品の特徴を伝えるためにどんな成分が入っているかをカタログやウェブサイトなどで
広告宣伝します。

その広告宣伝では当然、「伝えたい成分」を強調します。当然ですよね。
具体的に例を挙げてみると

天然の○○成分配合 
植物成分を5種類配合 
○○成分をふんだんに配合
今話題の○○成分配合 

そんな感じで広告してます。
見たことありますよね。

しかし、消費者に伝えたいこの「広告成分」とやらは、一体どのくらい入っているのよ?
と思いませんか?

それは、実は裏に書いてある全成分表示をチェックすれば一目瞭然なのです。

全成分表示にはルールがあります。ただ成分を書けばいいということではありません。

全成分は多い順に書いてある

いよいよ全成分のルールについて、です。

全成分を書くというのは2001年から始まったルール。もう20年以上も前の話ですが、実はその前ってどうだったかご存知でしょうか?

全成分表示になる前までは旧厚生大臣の「指定した成分」が配合されている場合にそれだけを表示すればよかったのですが薬機法が改正され「改正薬事法」となったときに、全成分を書き出しましょう、というルールになりました。

全成分を書きましょうとはいえ全成分をただ単に「書けばいい」わけではなく、書く時のルールも存在しています。

それは…
1)多い順番に書くと決まっています!

多い順番に書かれていると何が「主成分」かわかりますね。

広告で謳っている「広告成分」が一体、全成分のどの位置にあるのか、これでチェックすることができます。
広告と照らし合わせてみるとなかなか面白いことがわかりますよ。

全成分の1%以下のルールを覚えておこう!

全成分は多い順に書く、といってもそこには別のルールが存在します。

2)1%以下は順不同

となっているんです。

これどういうことかというと、「配合が1%以下のものは、順番はどうでもいいですよ。」
といっているのです。

つまり、1%以下しか入ってない場合、好きな順番に並べることができるという意味になります。

でもね、実はここが落とし穴。

メーカー側は1%以下の成分を自由に並べることができるんです。
これコスメを読む上で非常に重要なポイントになるんです。

ラベルを作るメーカー側の人になって全成分を考えてみよう!

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成分の配合が1%以下のものは順番を変えて全成分に記載していいわけですからメーカー側では好きな順番に並べることができます。

ここで全成分表をする人の気持ちになってみましょう。
1%以下の中で「広告したい成分」があったとしたらあなたはどうしますか?
多く配合している様に見せたいから前の方に持ってこよう…という心理が働きませんか?

私だったら…そうします(笑)
配合量が1%以下ってじゃあどうしたら解るの?
その秘密を公開します!

全成分の1%以下のボーダーラインはどこ?

では、配合量が1%以下のボーダーラインってどうしたら解るんでしょう?

ここからが高橋弘美の実務経験から生まれたオリジナルメソッドです!

その見分け方のひとつはエキスの位置です。化粧品にエキスを1%以上配合すること実はあまりありません。

だから全成分表示に○○エキスと出て来たら、
その○○エキスから下は1%以下であると予想できます。

この「1%以下のルール」こそ、私の長い経験から生まれたオリジナルメソッドです。

今まで10万個以上の化粧品製造に関与して来てさまざまな処方例を見て来ましたが、エキスを1%以上配合しているコスメは本当に少なかったです。100%絶対ではありませんが、よっぽどのことがない限り○○エキスがある場合はそこが1%以下のボーダーラインだと思っていいです。

これ、知っていると知らないとではコスメを読む♪に大きな差がでますよね!

1%以下しか配合してないなら効果はない?!

さてここまでブログを読まれてきた方はきっと

「エキスっていっても1%以下しか入ってないなら効果ないのでは?」と思われているかもしれません。
でも、実はそうでもないんです!!

ちなみにエキスなど化粧品の原料となるものはすべて原料メーカーから購入しますが、原料には規格基準というのがあって、細かくその仕様があります。そして、そこには原料の効果のエビデンスがついていることも多く、どのくらい配合すると効果がみられるか、などきちんと書いてあるのです。

例えば…○○%以上入れると肌には△△の効果がある

しかし、効果がみられる量を化粧品に配合するかどうかは、その化粧品を作っているメーカー次第なんです。

その有効な量もその成分によって違うので1%以下だから効果がない、と決めてしまうのは少し違うのです。植物エキスなどは肌への刺激も考慮した方がいいので多く配合すればいいというものでもないですしね。そして、植物エキスは高価な物も多いので化粧品のコストが安いものはそれなりだ、と思った方がいいです。

いい成分と悪い成分の判断はどうすればいい?

1%以下のボーダーラインがわかったところで自分の化粧品をみてみましょう!
便利なルールなのでぜひ活用して欲しいです。
例えば化粧水は、ほとんどが水分でできていますので、チェックしてみると分かりやすいと思います。

さて、コスメを読むことの目的って何だったでしょう?
そうです!コスメ選びの自分基準を作ることでしたね。

ラベルを読めるようになることで、自分が求めている、自分が望んでいる化粧品を見つけることができる。

これですよね。

人がいいと思う化粧品と私がいいと思う化粧品は違うんです。違っていいんです。

自分のライフスタイルで選ぶのもよし、自分の肌質で選ぶのも良し、自分の好き嫌いで選ぶものよし、季節によって選ぶのもよし…だと思うんです。
よく、「この成分いいですか?悪いですか?」「この化粧品はいいですか?悪いですか?」とご質問頂くのですが私はいいと思う、あるいは、私はよくないと思う、という私「個人」の答えしか持っていません。

それは化粧品の研究者の中でも考えは違っていて、パラベンは悪くないという人もいるし、パラベンは悪だ!という人もいます。

化粧品は必ず全体をみてください。その成分だけに着目するのではなく、そこにある作り手の意図も読み取って、自分の中でのいい、悪いを判断してください。

色々配合されている化粧品成分のたった一つの成分を取り上げて、いい悪いを決めるのではなく、全成分をじっくり眺めてみて、その順番から1%以下のルール、それら全体見ていい、悪い、好き、嫌いを判断するのことがとっても大事なのです。

そして、1%のボーダーラインを引いてみると化粧品の多くは水分と油分と界面活性剤の割合が多いか少ないか、でできていることがわかるはずです。

全成分の読み方のルールとコツについてよく分かりましたか?ここら辺はコスメの基本構成って? をもう一度読み直してみることもおすすめです。私の言っている意味がしっかり落とし込めるはずです!

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この記事を書いた人

米大学でホリスティック栄養理学士号(Bachelor of Holistic Nutrition)の学位を取得。1994年より化粧品 /健康食品会社にて研究開発、薬事申請業務に携わる

いくつかの外資系企業を経て2007年に独立。主に外資系企業の薬事面をサポートする薬事コンサルタントとして活躍するなか、炭酸美容法についてもいち早く着目。

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