誤解していませんか?重炭酸浴と炭酸浴の大きな違い
最近よく見かける「重炭酸浴」ですが
炭酸美容家髙橋弘美が伝えている
「炭酸美容」や「炭酸浴」とは何がどう違うの?
というたくさんのご質問をいただいたので
炭酸美容家髙橋弘美としての考察を
以下にまとめてみます。
炭酸美容家髙橋弘美がお伝えしている
「炭酸美容の炭酸」は、ズバリ炭酸ガスです。
炭酸ガスは二酸化炭素、つまりCO2ですよね。
炭酸美容の効果は炭酸ガス、
つまり水に溶け込んだ二酸化炭素(CO2)の効果です。
CO2が高濃度に溶け込んでいると
血行促進効果と洗浄効果があるので
私は炭酸ガスが1000ppm以上の
高濃度であるものをおすすめしているわけですよね!
「炭酸」という言葉は
とってもファジーで誤解を受けやすい言葉なのかもしれません
なぜなら、
広い意味での「炭酸」は
陰イオンである重炭酸イオン(HCO3-)や
炭酸イオン(CO32-)を含むのだから。
これらはあくまでも
二酸化炭素(CO2)が形を変えたものなのです。
だから「炭酸美容」とだけ聞くと
一体、何を指しての「炭酸」なのか
よっぽどの専門家でない限り
一般の消費者にはなかなか区別がつかないと思います。
炭酸美容家髙橋弘美が意味する
「炭酸美容」はあくまでも炭酸ガス、
二酸化炭素、CO2のことになります。
だから
炭酸ガスがたくさん溶け込んでいる状態のものは
血行促進効果や洗浄効果があるから
それでスキンケアや美容をしようね!
ってことです。
弱酸性でなければ炭酸ガスは存在できない化学的理由
もう少し詳しく説明していきますね。
少し専門的になりますが
できるだけわかりやすい言葉にしますね。
炭酸ガスは水に溶けると炭酸になります。
化学式で表すと↓
(二酸化炭素)(水)(炭酸)
この時、pHが酸性だと炭酸は主には
遊離二酸化炭素(CO2)の形で存在しています。
*遊離二酸化炭素とは水に溶けている二酸化炭素のことです。
しかしpHが中性になるにつれ
炭酸ガスは減少していきます。
そして、
重炭酸イオンが増えていきます。
下の図を参照してください。
横軸のpHを見ると
pHが高くなっていくと
ピンク線の炭酸H2CO3は下がっていきます。
※pHは数字が小さいと酸性、7の真ん中が中性、大きくなるとアルカリ性です。
炭酸と書いてありますが
前述の通り
pHが酸性域だと炭酸は水中では主には
遊離二酸化炭素(CO2)の形で存在しています。
さらにpHが
中性(7)からアルカリになればなるほど
炭酸ガスはゼロに近づきに
炭酸イオンが少しずつ現れます。
強いアルカリ性では
炭酸物質の全てが
炭酸イオンになることもあります。
さて、ここからが本題です!
重炭酸を謳っているいる
入浴剤の説明を見ていると
重炭酸浴は中性、と書いてありますよね。
これが化学的に何を意味しているか、
というと、
炭酸ガス(CO2)が少ない、ということ。
言いかえると
炭酸ガスは弱酸性で多く存在するため
中性域では炭酸ガスは低濃度になるのです。
pHがアルカリ性になると
炭酸ガスはほとんど存在しないので
炭酸ガスが高濃度であるためには
弱酸性であることが絶対条件なのです。
これは、化学の教科書にも書いてあるくらい
化学の世界では一般常識なので
何も特別な情報ではありません。
私が意味する「炭酸美容」は
あくまでも
炭酸ガスであり、二酸化炭素であり、CO2で
弱酸性領域でしか存在できないものです。
これが私がいつも
「炭酸美容は弱酸性」と言っている所以です。
天然炭酸泉でも炭酸ガスが高濃度ならみてすぐわかる理由
日本は温泉地として有名ですが、
天然炭酸泉が出るのは
とても貴重で日本全国でも約0.5%しかない
と言われています。
(こちらは飛騨小坂の炭酸泉)
日本の温泉法では炭酸泉の定義は
遊離炭酸ガスの濃度が250ppm以上。
私の提唱する炭酸美容は
炭酸ガスが1000ppm以上の高濃度です。
つまり、
天然温泉で炭酸泉と定義づけされる
250ppmの4倍以上の濃度となります。
0.5%しか存在しない天然炭酸泉ですが、
その中でも遊離二酸化炭素が
高濃度に含まれている天然炭酸泉となると
さらに希少価値が高い存在です。
なかなか出会えないので
\秘湯/と言えるほど。
拙書
「炭酸水でツルふわ肌に(扶桑社)」でも
ご紹介済みですが
日本の代表的な高濃度の天然炭酸泉は、
大分県の長湯温泉にある「ラムネ温泉館」や
七里田温泉「下湯」ラムネの湯があります。
上の写真でご紹介した飛騨小坂も炭酸泉で有名です。
高濃度の天然炭酸温泉に
実際に入浴してみると
炭酸ガスが高濃度1000ppm以上溶け込んでいるので
炭酸ガスの泡が肌にまとわりついてきます。
これは遊離二酸化炭素が多い証拠↓
(七里田温泉「下湯」ラムネの湯にて撮影)
炭酸泉とはいっても
遊離二酸化炭素が250ppmあれば
炭酸泉と言えるので、
なかなかこのレベルの
高濃度炭酸泉に出会えることは少ないです。
あらゆる天然炭酸泉に入浴を試みましたが
多くの天然炭酸泉は
遊離二酸化炭素量が1000ppmには届かず
重炭酸イオンが多い中性の炭酸泉です。
なぜか?
それにはいくつか理由があります。
例えば源泉で炭酸ガスが高濃度でも
浴場まで炭酸泉を引いてくる間に
炭酸ガスが抜ける。
(源泉じゃない)
あるいは源泉で炭酸ガスが高濃度でも
温度が低いために
浴場で加温すると炭酸ガスが抜ける。
(湯温が低い)
つまり、
湯温との関係、入浴場と源泉の位置関係など
遊離二酸化炭素が高濃度に維持されるには
全ての条件が満たされないとならないからなんです。
例えば源泉掛け流しの炭酸泉で
どんどん炭酸泉が湧いていれば
炭酸ガスがどんどん抜けても
炭酸ガスが高濃度に維持できます。
またその時の湯の温度が温浴に適した湯温なら
加温しなくてもいいのでそのまま入れる。
(加温すると炭酸ガスは抜けます)
ちなみに炭酸ガスは低温の方が多く溶け込むので源泉が冷たい炭酸水(ぬるま湯?)とか多いです。加温すると当然炭酸ガスは抜けていきます。冷たい天然炭酸水は美味しく飲めますが冷たい炭酸天然温泉は寒くて入浴できませんよね。
源泉で高濃度炭酸が溶け込んでいて
入浴するのに適してる温度であること!
なかなか存在しない。。
だから希少価値も高まるんですよね。
天然炭酸泉は
遊離炭酸ガスが250ppm以上なら
炭酸泉と定義できるけど
炭酸ガスが高濃度にならなず、
低濃度のものが多いというのは
これでご理解いただけると思います。
そして炭酸ガスが低濃度のものは
重炭酸イオンが多くなりますので
炭酸ガスの泡がまとわりつかない↓わけです。
この写真↑は長湯温泉にある天然炭酸泉ですが
長く浸かっていても
炭酸ガスが低濃度のため
炭酸の泡が肌にくっ付いて来ないのです。
低濃度であってももちろん
遊離炭酸ガスは溶け込んでいます!
量が少ないだけです。
一目瞭然ですよね。
炭酸ガスが高濃度かどうかは
泡のつき具合でも判断できるのです。
炭酸泉の本場!ドイツの温泉療養地の炭酸ガス濃度はいかに?
では私が実際に
ドイツの温泉療養地として有名な
バート・クロツィンゲンの自然療養施設(クアオルト施設)を
訪ねた時の天然炭酸泉がどうだったか?
ご紹介したいと思います。(2015年夏)
これ、プールのようですが、
足元から天然炭酸泉が湧き出ております!
湯温は約36℃でした。
炭酸ガスが高濃度に溶け込んでいる天然炭酸泉のため
泡がびっしりと肌にまとわりついていますね!
(炭酸ガスが高濃度の証拠!)
とっても細かい炭酸ガスの泡、
見えていますか?
ドイツの療養施設では
炭酸泉で循環器系の疾病の治療や
リハビリテーションに利用されています。
炭酸ガスが高濃度に溶け込んでいるものが
よりその効果があるとされていて
炭酸ガスが高濃度に溶け込んでいることが
その効果を左右することがわかっています。
実際に入浴している方達を観察してみたら
歩けない子供達が車椅子から補助をつけて
炭酸泉に入っていたりしていましたよ。
湯の中で浮くし、血流が良くなるので
歩けない子達にも炭酸泉は重宝されているようです。
すごい高濃度天然炭酸泉!
日本の炭酸入浴剤とpHの関係について
さて、日本はお風呂好きな民族。
海外だとバスタブがなく
シャワーしかないおウチは多い。
だからこそ「入浴剤」という
コスメ分野もバラエティー豊かで
色々なものが手に入りますよね。
入浴剤もたくさんの種類があり
それぞれ成分も違うのですが
炭酸入浴剤で有名な
花王のバブとfromCO2のマルチスパと
重炭酸浴のpHを比べてみました。
MSSと書いてあるのがfromCO2のマルチスパです。
炭酸浴を20分推奨し
炭酸ガスが1時間
高濃度を保つように設計しているので
pHも安定しています。(60分後)
炭酸入浴剤(医薬部外品)の花王さんのバブは
3日後でも安定したpHを保っています。
一方、重炭酸泉は、
pHは水道水と同じくらいの中性を
ずっと維持しています。
説明に24時間重炭酸イオンを維持とあるので
それもここで理解できますね。
参考までに次の図は、
花王のバブとfromCO2のマルチスパと
重炭酸浴のそれぞれが
湯に投入された時のpHです。
図をご覧のように
重炭酸イオンの存在が増えれば増えるほど
炭酸ガスの存在が少なくなります。
シーソーのような関係ですよね。
炭酸入浴剤といえば
花王のバブ、ですが、
花王さんのバブは
炭酸ガスを発生させる量が少ないので
150リットルのバスタブの湯に
入浴剤を1ついれても
炭酸ガスの濃度自体は80ppm−120ppmです。
それでもpHをコントロールして
炭酸ガスを維持するために
pHを低く設定しているのかな、と
私は思います。(私の個人の考えです)
できるだけ「炭酸ガス」を維持するには
その水溶液のpHを弱酸性にすることが望ましいのです。
炭酸入浴剤の遊離二酸化炭素濃度はどのくらいなの?
下記のグラフは
- 炭酸入浴剤、
- マルチスパプラス(MMS)
- 花王バブ(バブ)
- 重炭酸(重炭酸タブレット)
- 水
の4種類の遊離二酸化炭素濃度を測定し
経時で変化を見たものです。
赤色のマルチスパがあまりにも
遊離二酸化炭素が高濃度なので
見辛いグラフになってしまいました。
なので、一覧表にしてみました。
重炭酸とバブは遊離二酸化炭素の量が
そう変わりませんね。
一方、私が作った
fromCO2のマルチスパは
そもそも炭酸ガスが高濃度1000ppmを
入浴剤で表現したらどんなんなるの?
というところから出来上がった
高濃度炭酸入浴剤です。
だから炭酸ガスを高濃度に発生させて
炭酸入浴の効果を20分間の入浴で
しっかり受け取れるように設計しています。
もちろんpHコントロールもしています。
炭酸ガス高濃度の証拠は紅潮反応にあり!
さて、
泡がつくからって溶け込んでいるのとは違う!
という記事を見たりもします。
では高濃度である証拠を別の形で見せると
こちらの画像になります。
シーオーツープラス株式会社は
炭酸美容と炭酸化粧品の研究を20年以上
専門的に行なっている会社です。
上の写真は炭酸ガスの濃度を
500ppm、1000ppm、1500ppmと振った時の
紅潮反応を見ています。
写真が見にくいですが
炭酸ガスの濃度が高い方が紅潮反応も高く、
1500ppmで10分後が
最も潮紅反応が現れています。
そして今度は同じように、39℃に調整した
重炭酸浴、高濃度炭酸浴(MSS+)、お湯で紅潮反応を比べた写真です。
高濃度炭酸浴(MMS+/fromCO2のマルチスパ)には
くっきりと紅潮反応が見えています。
お湯(DI水)と重炭酸浴には
ほとんど紅潮反応が見えていません。
炭酸ガスの泡だけでなく
炭酸ガスが低濃度の場合は
紅潮反応がほとんど見られないということ。
これも高濃度であることの証明、
つまり、炭酸ガスによる血行促進効果であると言えます。
ちなみに水に溶け込んだ二酸化炭素を測定するのはそう難しくないのですがシーオーツープラス株式会社では
化粧液という様々な成分から構成され粘度もそれぞれ種類によって異なるものでも遊離炭酸ガス濃度を測定することができるため高濃度かどうか確認することができるのです。
このように
肌を通して吸収されるのは
水に溶け込んだ炭酸ガス(CO2)であり、
中性の重炭酸イオンではありません。
炭酸美容の効果は
溶け込んだ遊離二酸化炭素の効果で
遊離二酸化炭素がたくさん溶け込んでいる方が
美容効果も高い、ということになります。
本記事を読んで皆様が
炭酸美容を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
こちらも参照していただければ
私が説明していることがわかると思いますので
ぜひご参考までに合わせてお読みください。
三菱重工冷熱:炭酸泉とは?人工炭酸泉製造装置
花王:炭酸ガスの血行促進向上技術
人工炭酸泉浴 (花王バブ浴) による本態性高血圧症の血圧、循環機能の変化